観賞魚は、湖や川に住む「淡水魚」と海に住む「海水魚」にわけられます。一般的に、淡水魚よりも海水魚のほうが飼育が難しく、水槽の設置やメンテナンスの面でも、海水魚のほうが倍の費用がかかるといわれています。
海水魚の飼育が難しい理由は、魚の住環境の違いにあります。
湖や川は狭く、よそへ移動するということができないので、どんなに住環境が悪化しても、魚たちはそこで生きていくしかありません。水の中の酸素が不足すれば、水面に顔を出して口をパクパクさせる(鼻上げ)などして、環境の変化にも適応していくのです。
一方の海水魚は、広い海で生活しているので、住環境が悪くなれば、移動することができます。
海水魚は酸欠を知らないといわれています。もともと、サンゴ礁域は水中の酸素量は一定しているのですが、もし、酸素が少なくなれば、酸素の多いところへ移動することができます。
水が汚れたら水のきれいなところへ、どこへでも移動することも可能です。その結果、環境の変化に適応する能力が低くなってしまうのです。
こうした理由から、海水魚を水槽で飼育するには、水槽内を海に近い状況にしなければなりません。そのための設備や機材が必要になるので、費用がかかってしまうのです。
淡水魚 | 海水魚 | |
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体の色の傾向 | 体の色は淡い色の魚が多い | 比較的派手な色の魚が多い |
適応力 | 限られた範囲で生活しているため、環境適応能力は高く、水槽内の環境にも比較的早く適応できる | 自分に適した環境の場所へ移動することができるため、環境適応能力は比較的低く、なかなか水槽内の環境に適応できない |
水質安定までの時間 | 2週間~1カ月 | 1~2カ月 |
水槽管理の 難しさ |
コケを食べてくれる魚がいるので、水槽の管理は比較的容易 | コケを食べてくれる魚もおらず、水槽の管理が難しい |
飼育難易度 | 比較的易しい。人工飼料をすぐに食べてくれる魚が多い | 難しい。人工飼料をすぐに食べてくれず、餌付けの必要もある |
水槽デザイン | 緑の水草を配し、白いライトで照らすことが多い | 水草の代わりにサンゴや岩でデザインし、青いライトで照らすことが多い |
価格 | 海水魚用に比べて低価格 | 海に近い環境を作り出す必要があるため、淡水魚よりも高額になる |